教え子の通夜…
今日は教え子の通夜だった。
まだ55歳。
早すぎた。
* * *
半年前、同級生が亡くなった通夜の席で顔を合わせた。
担任はしなかったが、中2のとき以来。
あれから40年以上も過ぎていたが、よく覚えていた。
覚えていた理由は…
ジサマの授業で見かけた出来事だった。
* * *
それは、美術の授業でのこと。
木彫をしていた。
豆腐を半分にしたくらいの大きさの木が素材。
彫刻刀の使い方が一番難しい素材だ。
ひとつ間違うとすぐにケガをする。
* * *
その男の子は、彫刻刀を変な握り方で持っていた。
まるでわしづかみ。
これでは大ケガをする。
声をかけた。
ところが、
「大丈夫です。」
「これはケガをしない持ち方なんです。」
と言う。
聞いたら、木彫に詳しい方が近所にいらっしゃって、その方に教わってきたとのこと。
「おぉ、そうなんだ…」
と、いかにも「広い心」で聞いたフリをしたが、内心は恥ずかしい限り…。
ジサマの浅学ぶりがもろに出た出来事だった。
* * *
あの、あんなにまじめだった子が何でこんなに早く…。
奥様と二人のお子さんが泣き通しだった。
「今を一生懸命生きなければ、あいつに怒られる…」
参列した同級生の言葉が心にしみた。