怖かった…
夢を見た。
怖くて目が醒めた。
* * *
しっかり覚えている。
狭い崖のようなところの階段を登っていた。
なんでこんなところを…
そう思いながら、恐る恐る前の人に続いていた。
途中で、方向転換をしなければならないところに来た。
怖い…。
つかむところがない。
後ろにも人が詰まっているし…
戻れない。
と、前のおばさんが落ちた。
「だめだ~!」と叫んでいった。
20メートルもあろうか、真下はコンクリート。
「あ~っ!」
ドスンという音と一緒に目が醒めた。
* * *
恐ろしかった。
なんでこんな夢を見るんだろう…。
なんでこんなにはっきり覚えてるんだろう…。
とにかく怖かった。
* * *
昔は、夢を見てよく笑った。
可笑しくてたまらない夢をよく見たものだった。
声を出して笑って目が醒めた。
目が醒めても可笑しくて、笑いをこらえるのが大変だった。
* * *
あの頃は、いつも難しい顔をしてばっかりいた。
簡単なこともわざわざ難しく考えていた。
可笑しくてたまらない夢は、その反動だったのだろうか…。
とすれば、今、怖い夢ばっかり見るということは、
今の毎日が楽しくて平和だから、その反動なのか…。
せめて夢の中でくらい怖い思いをしろ、と 神様がやっかんでるんだ。
きっとそうだ。